日常生活の困りごとを解決する便利屋。脱サラを目指す人やDIYが好きな人、人の役に立ちたいと思う人から注目を集めており、現在個人で開業するケースが増えています。
しかし、実際どのような仕事をするのか、作業の雰囲気はどのような感じなのか。など知らない方も多いはずです。
便利屋の仕事は、ネット情報などでイメージは掴めているけれど、自分が働くとなると慎重になるものです。
そこで今回は、便利屋の主な業務と実際に働いてきた感想や作業風景を紹介します。
将来便利屋開業を目指す方や、便利屋で働いてみたいと検討している方に向けて、便利屋のリアルをお届けします。最後までお読みいただき、ぜひご自身の参考にお役立てください。
便利屋の主な業務とは?
便利屋の主な業務は、日常生活の困りごとを解決することであるため、仕事内容は多岐にわたります。お客さまは主婦や会社員、ご老人などの一般の方や企業や法人、社長などさまざまなお付き合いがあります。
一般家庭にまつわる仕事が多いですが、そのほかさまざまな依頼があり、便利屋が請け負う主な業務は以下の通りです。
・不用品処分
・引越し
・草刈り・草むしり
・庭木の剪定や抜根
上記は一例ですが便利屋がよく請け負う業務となります。そのほか、夜逃げ代行や蜂の巣駆除、買い物代行や結婚式の参列など、便利屋は他では行っていない業務を請け負うことがあります。
遺品整理のリアル!実際に作業をしてみた!
今回はとある戸建て住宅の遺品整理の現場をお手伝いしました。遺品整理とは、住宅内や周辺にある物をきれいに整理する仕事で、最終的に住宅内のすべての物がなくなることを目指します。
遺品整理の主な作業は以下の通りです。
・家電や家具の運び出し
・故人の遺品の管理や仕分け、処分
・リサイクル品やリユース品の仕分け
・廃棄物の運搬、処分
・家具の解体
・清掃
遺品整理は、住宅の大きさや周辺環境の状況により作業時間が大幅に変わってきます。今回は2階建て4LDK住宅を合計3日間かけて遺品整理しました。
遺品整理の作業は、生活感が残っている状態からスタートします。
テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンなどの家電リサイクル法に該当する製品は、処分方法に決まりがあるため適切に処分しなければいけません。
しばらく使われていない部屋には物が無造作に置かれており、ホコリも蓄積しているので片づけする際はマスクの着用が必須となります。この日は真夏の気温が高い日であったため、マスクをするだけでも大変な作業となりました。
暑い季節なので熱中症に気をつけながらこれらの物を分別する作業に入ります。
家の中をきれいにするにあたり、家具もすべて出さなければいけません。本来であればトラックに家具をそのまま積み込みますが、周辺の道が狭く大型トラックが入れない場合は、家具を解体しコンパクトにして排出する必要があります。
今回の遺品整理も解体して軽トラックに積み込む必要があったので、家具をすべて解体しました。
家具本体はもちろんのこと、引き出しも一つずつ解体する必要があります。一軒家の住宅は各部屋に家具がよくあるため、家具の数が多いと工具を使ったり人力で解体したりする作業は思った以上に大変です。
解体した家具や不用品のソファやマットレス、椅子などを処分場まで運搬します。
場内の決められた場所まで移動し、自ら廃棄物を下ろさなければいけません。不用品処分を待つ業者が列を成しているので、順番待ちをすることもあります。
残っている家の中にある物はそのまま捨てるわけではありません。
可燃ごみや不燃ごみ、プラスチックや布などに分別する必要があります。中には金属が埋め込まれているプラスチック製品もあるため、それらに注意しながら分別しないとリサイクル場で引き取ってくれないのです。
また、未開封の物や使用できそうな物は買取品として分別したり、海外などでリユースされたりするので、それらも見極めながら分別する必要があります。
分別した物は運び出しやすいように一箇所に集めておき、トラックに積み込んで処分場や引取先に運び出します。
しかし地域によってそれぞれ引取先があるので、事前に把握しておく必要があります。それらの情報は先輩便利屋が知っているので、情報を聞いてみても良いでしょう。
作業人数を3日間いただいたうち、2日間で家の中の物の運び出しと掃除が完了しました。たくさんあった物もきれいに片付き充実感があります。
荷物の量は軽トラック合計7〜8台分となり、作業員は合計4人での作業でした。家具の解体や運び出し、ゴミの分別や2階にある布団の下ろし作業など、遺品整理は盛りだくさんの作業内容でした。そのほか、ガレージや庭周りの片付けをして作業はすべて完了です。
真夏での作業だったため、各部屋に当然エアコンもなく、ホコリが舞う部屋でマスクを着用した作業は思った以上に過酷です。
ただし、物がきれいに片付いた後の達成感は、作業した人だけが味わえる特別なものなので、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
便利屋のリアルな現場事情
便利屋開業する人が増えているのと同時に、便利屋のネット情報も増え続けています。
しかし、どの情報を信じて良いのかわからない方も多いのではないでしょうか?
以下では、便利屋業務をして感じた便利屋のリアルについて紹介します。
言わずもがな、便利屋はさまざまな仕事を請け負うため、経験がものをいいます。
また、不用品や鉄などの受け入れ先について、場所を把握したり交流を持ったりすることも当然あります。
開業当初は手探りになってしまいますが、仕事を通して経験や交流ができる仕事です。個人開業とはいえ、関係業者との交流も欠かせません。
個人開業でかなり大変なのが、電話での問い合わせなどの対応業務です。
また、家族サービスや旅行中など休日に電話が鳴ることもあるでしょう。さらに帰宅後には事務作業などの雑務もしなくてはならないため、実働稼働時間がイメージより多くなることも考えられます。
私が作業している間でも、同行していた方は作業しながら常に電話対応をしていました。電話がまったく鳴らなくて仕事がないより、仕事が多くある方が良いですが、その反面、プライベートの時間まで仕事に取られる可能性があるのです。
ある程度仕事に慣れてくると経験も蓄積されます。しかし、便利屋の仕事は同じ環境や同じ作業の繰り返しではありません。
毎回違う仕事になるので飽きはきませんが、作業環境が悪かったり、現場周辺が狭くて車が入れなかったりすることもあるでしょう。
どの現場も異なる特徴があるため、その場に応じた対応や作業要領を早く掴む必要があります。時間がかかるとお客さまや周辺住民にも迷惑がかかるため、注意が必要です。
便利屋の仕事は依頼者の困りごとを解決することが仕事です。仕事内容によっては、依頼主さまの人生と向きあうこともあります。
今回の遺品整理においては、手作りプレゼントや家族で撮影したアルバム、趣味の物など故人様の人生に触れることもありました。
しかし依頼主さまの意向で処分して欲しいとなれば、感情を抜きにして処分するしかありません。
人の人生に触れながらお手伝いをするのが便利屋の仕事のため、やりがいと責任感を感じながら業務に取り組むことになります。
お客さまと直接やりとりする便利屋は、感謝の言葉をいただきます。苦労して完了させた遺品整理の現場を見たお客さまは、驚きとともに感謝の言葉をくださるものです。
一般会社員となれば、仕事をこなすことが前提なので、お客さまから直接感謝をいただくことはそれほど多くありません。
そのため、感謝の言葉が忘れられず便利屋をずっと続けている方も多くいます。
便利屋の仕事はきついがやりがいや達成感がある
今回は便利屋の仕事内容と遺品整理の現場について紹介しました。
便利屋の需要が増えるとされる中、便利屋開業を目指す人も増加傾向にあります。
開業したら自分の思うように仕事ができて稼働したらその分の稼ぎになります。しかし実際に働いてみると、体力的にも大変でなおかつ仕事経験や人脈も必要になると感じました。
個人開業とはいえ、1人でコツコツ作業するといった考えではなく、仕事に対する姿勢や経験、人脈などを持ち合わせないと便利屋業界で生き残るのはかなり厳しくなると思います。
便利屋は、たくさんの仕事をこなしながら多くのお客さまと接する大変な仕事ですが、その分やりがいも十分にあります。また、仕事をまじめにこなしていけばご自身の成長や収入も上がり続ける夢のある仕事です。
これから便利屋開業を目指している方はぜひ、必要とされている方の力になってみてはいかがでしょうか。