【便利屋開業】現役の便利屋が教える開業届の出し方や必要資格、資金調達などを解説

アイキャッチ 便利屋のはじめ方
・便利屋を仕事にしていきたい
・便利屋開業するにはどうすればいいの?
・便利屋開業で失敗を避けるには?
便利屋の主な仕事は、お客さまが日常で困っていることを手助けすることです。
高齢化社会や共働き世帯の増加、人手不足の企業などちょっとしたサポートしてほしいニーズはこれからも高まるしょう。
しかし一方で、便利屋は世の中にまだまだ浸透しきれていません。そのため、「便利屋に興味はあるけれど、どうやって仕事を始めればいいの?」と疑問に思っている方も大勢います。
そこで今回は、便利屋開業でよく悩む開業までの道筋や必要資格、便利屋開業の注意点を紹介します。
便利屋を開業した筆者の経験も交えて解説しますので、便利屋開業にぜひお役立てください。

便利屋のよくある仕事内容とは?

便利屋

便利屋の仕事内容は多岐にわたります。お客さまの困りごと解決が主な仕事なので、毎回同じ依頼がくるとは限りません。

しかし、便利屋の仕事内容には傾向があります。中でもよくある依頼は以下の通りです。

  • 不用品回収
  • 草刈りや草むしり
  • 空き家の残置物の片付け
  • ウッドデッキの解体
  • 買い物代行
  • アパートの退去後リフォーム
  • マンション共有部分の定期清掃
  • 荷物や家具の移動
  • 引越し
  • 照明器具の取り付け

上記は便利屋業務の中でもよくある依頼ですが、開業地域が都会なのか田舎なのかによって仕事内容は変わってきます。たとえば、庭が広い田舎の地域では灯籠処分などもあります。

便利屋の仕事は完璧に準備するのではなくやりながら整えていく

これだけ仕事の種類が多いと、どのようなサービスを提供するべきなのか迷います。しかし実際は、依頼がきてから考えながら行動し、徐々にスキルを身のつけていくのが多いです。

そのため、便利屋開業直後はあれこれ完璧に準備を整えるより、まずは現場に出て行動し、そこから知識や道具をつぎ足すイメージです。

便利屋開業直後は、お金をかけられないし知識や経験もありません。ましてや道具をそろえて完璧に準備してもその依頼が必ずくるとは限りません。

便利屋の仕事は完璧に準備をするのではなく、最低限の準備から始めてやりながら整えていく方が確実で出費も最小限に済みます。

便利屋を開業する方法は大きくわけて2種類

便利屋を開業するには、1人で開業する「個人開業」と便利事業を展開している企業に加盟する「フランチャイズ開業」が主です。

便利屋として事業開業するには変わりませんが、どちらも独自の特徴があります。以下でメリットとデメリットを見ていきましょう。

個人開業とフランチャイズのメリット・デメリット
メリット デメリット
個人開業 ・開業資金を抑えられる
・営業時間や料金など好きに決められる
・開業準備や集客をすべて行う必要がある
・開業直後は知名度がないので仕事量が安定しない
フランチャイズ ・企業の知名度を利用して開業できる
・運営や技術ノウハウが得られる
・加盟金や毎月のロイヤリティなど支払いが負担になる
・サポート体制が企業によってバラツキがあることも
・途中解約する場合は解約金が発生する

個人開業はホームページやチラシなどの集客ツールや、作業必要な備品、技術ノウハウなどをすべてそろえる必要があります。その代わり、開業資金や毎月の運転資金を抑えらるのが最大のメリットです。

一方フランチャイズの加盟は、便利屋企業から経験やノウハウを提供してくれるため、開業方法から運営などをサポートしてほしい方に適しています。

ただし、加盟金が必要だったり毎月ロイヤリティの支払いがあったり、一度加盟すると解約が難しかったりなどのデメリットもあります。

用意できる資金や便利屋としてのビジョンを考えた上で、どちらかに選択するのがおすすめです。

便利屋開業の必要資金について

開業資金

便利屋開業で必ず頭を悩ますのが開業資金の問題です。個人開業とフランチャイズ開業では必要資金に大きな差があります。

ここからは、開業方法によって異なる必要資金の金額について解説します。

個人開業の必要資金
個人開業の場合の資金は、数十万円から250万円などの費用がかかります。
内訳としては、車両費やネット集客などの広告費宣伝費、道具通信費などが挙げられます。
ただし、自家用車を使用したりホームページを自分で運用したり、DIYが好きだったりする方は数十万円程度で収まるでしょう。
開業費用を少しでも抑えるなら、完璧な準備ではなく、事業を進めながら必要に応じて道具などを集めるのがポイントです。
実際に、道具を集めたところで使わないこともあるからです。

手持ちの道具を使ったり少しずつツールを集めたりなどの工夫をすることで、開業費用を抑えられるのが個人開業の強みです。

フランチャイズ開業の必要資金
フランチャイズ開業は、100万円から300万円の開業資金が必要です。
フランチャイズ加盟の大半を占める費用はズバリ加盟金です。フランチャイズに加盟すると屋号を与えられたり研修が受けたれたり、集客のサポート受けたりできるメリットがあります。
そのため、加盟金だけで多額の資金が必要なのです。また、フランチャイズに加盟すると毎月数万円程度のロイヤリティ支払いが発生します。
売り上げに関わらず毎月ロイヤリティは支払う必要があるので、開業当初は注意が必要です。
ただし、フランチャイズ独自のノウハウを惜しみなく伝授されるので、個人開業よりも早い段階で稼げる便利屋になる可能性もあります。

便利屋を開業するときの資金調達方法とは

便利屋開業には、個人もフランチャイズも資金が必要です。しかし、開業資金が用意できないとお困りの方もいます。

そこで役立つのが、国が提供している「日本政策金融公庫」から融資を受けることや地方自治体が行なっている「助成金」の利用することです。

日本金融公庫からの融資

「日本金融公庫」からの融資は、低金利で無担保、無保証で融資を受けられるのが最大のメリットです。だたし、融資を受けるには「創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」といった決まりを定めています。融資を受けるには自己資金と面談内容が重視されます。

助成金の利用
地方自治体などにある助成金を利用して開業資金に充てることも可能です。
助成金の最大のメリットは、返済する必要がないことです。つまり、申請が通れば資金面でマイナスにはなりません。
しかし助成金も注意点があります。それは、原則後払いになることです。支払われるタイミングは助成金制度が終了した後に支給されるため、すぐにでも資金が欲しい方には不向きな制度です。
便利屋に役立つ資金調達は以下の記事でも解説しておりますので、参考にしてみてください。

便利屋開業に必要な届出と持っておくと有利な資格

便利屋開業を目指す際、個人開業とフランチャイズの2種類があると解説しました。ここからは、どちらの開業方法にも共通する開業に必要な届出と資格について紹介します。

オープンするには「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する
便利屋を開業することが決まりましたら、「開業届」と「青色申告承認書」の提出がおすすめです。
開業届を出すことで「事業用の銀行口座が作れる」ことや「事業を営んでいる証明」に使えます。また、開業届と一緒に「青色申告承認書」を提出することで、確定申告で大きな節税効果があります。
どちらも税務署で取り扱っておりますが、マイナンバーカードを持っているとスマホからでも申請が可能です。詳しくは以下の記事のご覧ください。
買取時に必要な「古物商」
古物商とは、商品の売買または交換をする際に必要となる資格です。
便利屋で必要なるケースは、不用品処分の現場で買取をしたりリサリクルショップに持ち込み換金したりする時に必要です。
資格の申請は最寄りの警察署「生活安全課」で行なっています。
万が一、資格がないまま買取などをすると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に課されます。また、新規で古物商の取得もできなくなるので注意が必要です。
不用品運搬に必要な「産業廃棄物収集運搬業」
産業廃棄物収集運搬業とは。建設現場で排出されたコンクリートブロックや、庭木の剪定で出た大量の枝ゴミを処分場まで運搬できる資格です。
便利屋で必要となるケースは、建設現場や工場、病院などから出る産業廃棄物を収集し、処分場まで運搬する際に必要となります。
費用はおよそ、6万円〜8万円ほどであり取得までおよそ2か月ほどの期間を要します。申請は買う都道府県の役所から可能です。
産業廃棄物収集運搬業は、資格を取得すると社会的信用性が高くなるので、金融機関からの融資が受けやすくなったり建設現場や家電業から仕事の依頼がきたりなど、さまざまなメリットがあります。
軽自動車で荷物を運び運賃をいただく「貨物軽自動車運送業」
軽貨物運搬業とは、軽自動車やバイクなどを使用し、依頼主から費用をいただいて荷物を運搬できる資格です。
便利屋として必要なるケースは、宅配業として荷物を届けたり引越し作業を安心して行いたいときに役立ちます。
取得には最寄りの運輸支局長への届出が必要で、申請が通れば軽トラックに黒ナンバーが装着されます。
車の送迎で費用をいただく「第二種運転免許」
お客さまを目的地まで送迎し、お金をいただくときに必要となるのが第二種免許です。
便利屋であれば、お年寄りから少し先まで送ってほしいと言われることもあるでしょう。しかし、それには第二種免許の資格が必要であり、車両も緑ナンバーの装着が必要です。
万が一、違反すると3年以下の懲役または、300万円以下の罰金に課されます。また、「あの便利屋は送迎までしてくれる」と巷で噂になると事業存続もできなくなるでしょう。
そのため、送迎をお願いされても資格がない場合は断る勇気も必要です。
草刈りの仕事で持っておくと安心な「刈払機取扱作業者」
仮払機取扱作業者も便利屋として持っておくと役立つ資格です。
草刈りなどの作業が多い便利屋は、草刈機を使うことも多くあります。その際、仮払機取扱作業者を持っていると安全に機器を扱えたり、行政からの草刈り依頼を巻き取ったりもできます。
資格取得は6時間の講習で取得可能なのでぜひ持っておきたい資格です。
コンセントの移設や増設に必要となる「第二種電気工事士」
第二種電気工事士とは、コンセントの移植や増設などに必要な資格です。
便利屋としても電気関係の依頼もよくあるため、資格を持っておくと他の便利屋にはできない仕事も巻き取れるでしょう。
資格取得には学科と実技の試験があり、独自で勉強する時間も必要です。しかし、取得ができれば大きな仕事も取れるため、リターンは大きいと言えるでしょう。

便利屋開業の集客方法とは?

集客

いよいよ便利屋を開業することが決まったら集客を行いましょう。事業を開業する際は必ず宣伝をしなければいけません。

なぜなら、リピーターさんを獲得するまでは、すべて新規のお客さまを集めなければ仕事につながらないからです。

ここからは、便利屋開業をするときに必要な集客のポイントについて解説します。

ホームページなどで信頼性をアピールする
便利屋事業で今や必須となるのがホームページです。
ホームページは多くのユーザーに事業内容を告知できる目的や、24時間365日休まずネット上で宣伝をしてくれる効果もあります。
チラシを配るより多くのユーザーにリーチができて、ホームページを一度立ち上げたらチラシを撒き続けるより費用も安く済みます。
ただし、便利屋のホームページは無数に存在しているため、あなたがホームページを立ち上げる頃は後発組になっています。
そこでおすすめなのが、顔写真や口コミなど信頼性を獲得してホームページに掲載することです。最初は安くてもいいので評判を獲得して、ホームページ上で信頼性をアピールしましょう。
そもそも便利屋は特殊な仕事でもあるため、初めて利用する方や実態を理解していないお客さまは多いものです。 お客さまに安心してもらうためにもまずは、現場での実績を集めていくことが大切です。
キャンペーンをアピールしてみる
初回出張費無料などキャンペーンをアピールするのも集客方法のひとつです。
お客さまから「まずは試してみようかな?」と思っていただきお問い合わせにつながるだけでも、開業当初は大きな成果です。
そのため、初回に限り出張費無料などのキャンペーンを設定しておくと、お問い合わせまでのハードルが下がる可能性があります。
実績を作りSNSやホームページに載せる
便利屋としての実績をSNSやホームページに随時追加するのも大切な集客方法です。
お客さまはどのような悩みを抱えて、お問い合わせしてくるのかは便利屋側としてはわかりません。そのため、仕事の実績をネット上アピールしておくと、お客さまからお問い合わせが来るかもしれないのです。
お客さまは、「この便利屋に作業をお願いしても大丈夫かな?」と思っています。そこで、便利屋としての実績があれば安心してお問い合わせにつながる可能性があります。
実績がないときは、自宅を掃除して実績にしたり、身内や親族の家での困りごとを無料で作業したりなど、小さなところからでも作れます。
ホームページやSNSを見たお客さまに安心してもらうことが重要です。

【失敗を避ける】便利屋開業の注意点

便利屋を始める上で大半の方が心配になるのが、「開業した後の失敗」ではないでしょうか。

便利屋を立ち上げる方が増える一方で、廃業を余儀なくされる店舗も多く存在します。しかし実際は、失敗には共通点があることもわかりました。

ここからは、便利屋開業後の失敗を防ぐ注意点について解説していきます。

資格が必要な仕事は知っておく
便利屋事業で失敗を防ぐひとつ目の注意点は、資格について理解することです。便利屋をしているとときに資格が必要な依頼が舞い込むことがあるでしょう。
資格をほとんど持っていないにも関わらず、依頼をとにかく受けるだけ受けてしまうとトラブルに巻き込まれます。
例えば、離婚届など公的文書を代わりに提出してほしいといった依頼は、行政書士の資格が必要です。
このように、簡単でできそうな依頼は便利屋に寄せられることもあるでしょう。しかし中には資格が必要な依頼もあるため、依頼内容について資格は必要であるのかを調べることも重要です。
道徳に反することや人生を左右する仕事は引き受けない
道徳に反すること、いわゆるモラルを損なう依頼は引き受けないようにしましょう。社会的秩序を乱す依頼は、むしろ困る人を生み出すことになります。
実際にあるのは、とある店舗の悪口を代わりに投稿してほしいといった依頼です。その店舗に迷惑がかかるだけではなく、投稿した便利屋も悪評を投稿した店舗とみなされ評判は一気に下がるでしょう。
また、大学に行けないので代わりに出席してほしいといった依頼や、勉強を代わりにしてほしい依頼も、その人の人生に関わることなので便利屋としてリスクが大きい仕事です。
道徳に反する依頼や人生に関わる依頼は責任が重大なので、リスクがある仕事は気をつけましょう。
無理な価格競争に巻き込まれないよう気を付ける
他社の便利屋と差別化をしようと価格を極端に安くするのは注意が必要です。
他社とよりも圧倒的に安い単価で仕事を取り続けると、稼働時間だけ増え体力的にしんどい運営となります。
開業当初は、経験や実績を積むために安く仕事をすることもあるでしょう。しかし身一つで働く個人経営者は、技術と経験を身につけながら作業単価も重視する必要があります。
価格競争に巻き込まれない意識も大切です。

便利屋開業は難しくありません。前向きに検討してみましょう

今回は便利屋開業について解説しました。便利屋は開業に至るまでたくさんの工程があるように感じますが、開業自体難しくありません。
個人開業であれば、工夫次第で初期投資が抑えられるのが魅力で、フランチャイズに加盟すれば、ノウハウや屋号をいただけるのが魅力です。
ビジネスの中でも便利屋は圧倒的に始めやすいため、自分で仕事をしたい方にはおすすめです。
これから便利屋を始めようと検討している方は、少しずつからでも行動してみてはいかがでしょうか。
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